安らかに・・・

仕事をはじめて6年間、色々な人の死に対面してきた。
目の前でいきなり倒れて、そのまま心臓が止まってしまった人、
血圧を測っていたらいきなり息が止まってしまった人。
人の死は突然にやってくる事もあったり、徐々に死に向っていく人もいる。
でも、自分が何か処置やケアをしたことがきっかけで、
そのまま亡くなってしまった人は居なかった。
その方は、90歳。
もう高齢で病気と言うよりは、老衰で弱っていると言う感じだった。
今日までに何度も致死的な不整脈がでているけれど、
なぜか心臓が頑張って元の正常?な状態に戻っていた。
でも、きっともう心臓は一杯一杯だったんだね。
歯磨きをして、自分で出す事が出来ない気管に詰まった痰を
大量に取り除いてと、身だしなみを整えていた時、また不整脈が・・・
次にこの不整脈がでた時は、
もう心臓は頑張れないだろうと言われていた。
で、本当に戻ってこなかった。何をやっても。

確かに老衰で、家で安らかに死を迎えられたら
無理やり気管に管を入れられて、
痰を取られたり、褥創が出来ないようにと
ごろごろ身体を転がされたり・・・そんな事はされなかっただろう。
その人にとってどっちが安楽だったのだろう?
家族にとっては?
病院に入院していれば、自分の望まない辛い事をたくさんされるだろう。
救命処置はしないと言っても、最低限の処置は日々繰り返される。
自分で痰が出せない場合、
そのままにしていれば痰が詰まって息ができなくなってしまう。
その為、気管に管を入れ吸引される。
これは生きるための最低限の処置。
でも、この処置をしたことで死がやってきた。
最後にやった私の処置のせいで・・・。
「これで最後だから頑張って〜」と言いながら行った処置が
本当に最後になってしまったのだ。
あの患者さんの顔・呼吸が止まった時の顔色の変化、
目の前から離れない。
あ〜、あの時やらなければよかった。
そうすればもう少し生きられたかもしれない・・・
やっぱりショック。

○○さん。
もう苦しい事しないから、ゆっくり休んでくださいね。
本当に長い間お疲れ様。安らかに・・・

ニライカナイ